コルクへ …1.
作家エージェント会社「コルク」の佐渡島さんに、私の漫画をお見せする機会をいただきました。
出版社での漫画家デビューを目指すことに葛藤を感じ始めていたとき、ふと、昔テレビで紹介されていたコルクのことを思い出したのがきっかけです。
何年か前、母が私に見せるために録画してくれた、NHKの「プロフェッショナル」で紹介されていたコルク。
とても印象に残っていて、
「こんな会社で支援してもらえる作家は幸せだろうな」
と思ったことを覚えています。
番組では、起業して間もない様子が映されていたようでしたが、私がプロの漫画家になった時にはこの会社で契約してもらえないかな…なんてことを勝手に考えていました。
漫画家志望の段階で会社へ赴けるとは思っておらず…。
コルクへ持ち込みに行くことを決心し、佐渡島さんに直接お会いするまで…と、お会いしてからのことを記録しておこうと思います。
◆
コルクで打ち合わせの時間をいただく前まで、私は週刊少年マガジンの編集者の方にお世話になっていました。
そこで私の作風を評価してくださっていたのは主に担当さんだけで(一度はマガジンで佳作を取ったことはありましたが)、マガジンが求める作品を描き続ける力は自分にはないと思い、別の場所で漫画を描くことを考えるようになりました。
私の作風だとアフタヌーンなどの青年誌が一番合うだろうなとは思っていましたが、そうするとやはり大人の層にしか読んでもらえない気がして、読者層が存在する商業雑誌へ投稿する気になれず…。
ネットで発表していくのがいいかもしれないと思い始め、恩師の漫画家先生からもweb漫画家になる方向性を示してくださったことが重なり、ネット上で漫画を発表して生活するための方法を考えていくことにしました。
ですが、自分一人で作品をマーケティングしていけるだけの能力も自信もなかったので…、その能力のある誰かに頼らないと、作品を広めていくことはできないだろうとも考えていました。
その誰かを頼りに、作品を発表していく方法はないかと調べようとしたときに、コルクの存在を思い出します。
雑誌では載せてもらえなかった漫画を持ち込みに来ていた漫画家さんと、その作品をweb上で公開する作業をしていた社員の方々をテレビで見た記憶が残っていました。
当時は「作家をエージェントするフリー編集者のような人たちが集まる会社」だと認識していたと思います。
(そんなに間違ってはいませんかね…?)
そんな当時のことを思い出し、
「自分の作品をこの会社に持ち込んだらどんな反応されるだろう」とか、「エージェントしたいと思ってもらえたら嬉しいな」とか、いろいろ思いを巡らせるのですが。
よし こうなったら、いざ、コルクに漫画の持ち込みへ……
とはならなくて。
その時はコルクが新人の持ち込みを受け付けていることを知らなかったんです。プロの漫画家さんしか対応してもらえないと思っていました。
コルクのホームページに記載しておいたほうがいいと思います、新人でもTwitterからなら持ち込みの申請ができるって。。
Twitterやってなかった私には分からんかったですよ。
ただ、この時はすでに、noteに佐渡島さんのアカウントがあったことは知っていたし、コルクがたま〜に漫画賞を開催していたことも知っていました。
また漫画賞やらないかなぁ。とちょっと待っていた時期もありました。
noteから佐渡島さんに話しかけてみようかと思ったことも…。
でも、とにかくこの時は、いろんな方法を試してみようと思っていたので、読者層など関係なく色々なジャンルを扱っていると銘打った漫画アプリに持ち込みor投稿しようと思ったんです。
でもなんていうか…
アプリを調べていくうちに…
なんだか気が乗らなくなっていきました…。
アプリの数が多すぎて、どこに投稿しようか絞ることに時間をかけすぎて、モチベーションが消耗していったのでしょうか。
結局、漫画が連載されているようなアプリに持ち込みしたり賞に投稿をするのではなく「ジャンプルーキー」という読者投稿サイトに漫画を載せてみることにしました。
一応、そのサイトにも漫画賞はありましたが、ジャンプでの連載を望んでいなくても自由に投稿できるのと、編集者だけではなくジャンプの読者にも漫画を読んでもらえることに魅力を感じました。
(現在は作品もアカウントも削除してしまいましたが)
反応があって賞の候補に入ったらラッキー、反応がなくてもジャンプにこだわっていないので別のアプリに投稿しよう〜なんて気持ちで投稿していました…。
いま思うとジャンプに失礼でしたね…。
読者の方から賞賛のコメントがあったときはとても嬉しかったです。
ですが、編集部からはなんっっっっっの反応もなかったです。
こだわってはいないと言っても結構さみしいものを感じました。
そして、候補に残りそうな漫画が大体把握できるようになったときです、コルクで新人の持ち込みも受け付けていると知ったのは。
私は、賞の候補がまだ決まっていないにも関わらず(候補に入ることはないと判りきっていましたが)、佐渡島さんへの連絡を試みることになるのです…。
◆
7月の上旬が終わりかけていた頃には、コルクのことが気になりすぎて、Google検索で『コルク 2018年 漫画賞』だとか『コルク 新人』と単語を並べて、よく検索していました。笑…
検索に引っかかった記事のなかに「漫画賞以外での新人の発掘も積極的に行なっている」というニュアンスの文章を見つけたときはビックリ。
漫画賞でしかチャンスがないと思い込んでいました。
ホームページの問い合わせホームから連絡をとってみても対応してもらえるのかな!? と思いましたが、連絡をとる前に『コルク 持ち込み』と検索してみたのが正解でした。
検索結果からこんな↑リンクを見つけて
佐渡島さんのTwitterアカウントページに辿りついて
下線の言葉を見つけました。
んんんんん………
もっと早く言っておいてほしかった!
◆
自分の漫画を世間に知ってもらうためにTwitterを始めようかなとは思っていましたが、佐渡島さんに連絡を取るために始めた風になってしまいました。
手探りでアカウントを作成して、いつでも連絡を取ることができる状態になったのが7月15日。(それまでに凍結やら何やらして大変でした)
もう二ヶ月以上前になるんですね、早いなー…。
ただ、自分のアカウントになんのツイートも載せていない状態でメッセージを送ると不審がられるかもしれないと思って、ツイートしていけそうなネタを先に考えて載せました。
こういう漫画表現の持論をいくつか…。
現在は自作漫画の紹介や創作の記録をツイートしています。
これで準備万端…となり、いざ連絡します…。
事前に調べておいたので、リプライやらダイレクトメッセージやらの機能はちゃんと把握し、佐渡島さんへ持ち込みの希望をする旨のダイレクトメッセージを送ることができました。
あとはお返事を待つだけ。
というわけにはいきませんでした。
2日経ってもお返事がこない。
「既読にもなってないし、きっと忙しいんだろう…」
と思っていましたが、それにしてはツイートを頻繁にしていらっしゃる。
「たぶん気づかれてない」
その後、ダイレクトメッセージだと相手に気づかれにくいと教えてもらったので、次はリプライでコメントを送ってみることに。
一通目を送って、通知が流されているんだろうなと思ったときは、一通目を消してから二通目を送り、二通目も気づかれていないと感じた時はまた消して三通目を送っていました。
(何回も送っていたことが後で分かると気を遣わせてしまうと思ったので消していたのですが消さなければ良かったかもしれない)
1日に3回、何日か続けて送っていた途中で、佐渡島さんの誕生日会があったらしくて、その日一日はツイッターを見ないだろうと思ってリプライを送らなかったのですが、送っておけば何か変わっていたでしょうか。
リプライを送り続けて数日。
んもおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ
と叫んでいたらしいです。
(実家暮らしです)
◆
たぶんきっと私は短気なのだと思うのですが、しびれを切らしたので、コルクの問い合わせホームから持ち込みの予約ができないか問い合わせてみることにしました。
すごく簡潔にまとめると、『ツイッターからだと連絡が取れないのでこちらから申し込むことはうんたらかんたら…』といった風な内容です。
すると、お返事のメールが次の日に送られてきました。
連絡が取れてすごくホッとしました。
ありがたいことです。
お返事の内容の一部がこちら↓
漫画の持ち込みに関しましては、
Twitterへのコミュニケーション方法も含めてフィードバック対象となりますので、DMの他、メンション等でもTwitter上にてご連絡をとっていただけますと幸いです。
何も解決できなかった………!!
連絡とれないんですってぇ言ってるじゃアないですか…!!
そこはちょっと臨機応変に対応してもらいてぇ! と食い下がろうとしましたが、ここでしつこく言っても社員さんを困らせるだけなんだろうと理性が働き、なんとか気持ちを抑えました。
正規の申し込み口ではないところから連絡を取ろうとしたワガママな自分も悪かったので…ひとまずは身を引きます。
ですが、もうこのまま永遠に持ち込みできないんじゃないかと思えてきて、途方に暮れてしまいました。
この後、解決に繋がるアドバイスを得られるとも知らず、八方塞がりだと感じていました。
◆
こうなったら送り続けるしかないと覚悟して、またリプライを送ろうとするのですが、悩んでいる私を見かねた身内から、ある提案をされます。
ツイートされたばかりの記事にダイレクトメッセージを送ってみたらどうかと言われました。
なんのことか最初は分からなかったのですが、ツイートされているものに対してはコメントだけでなく、いいねボタンの横にある封筒マークからダイレクトメッセージを送ることもできるのだと教わりました。
ツイートされたばかりの記事にダイレクトメッセージの通知が付くと発見されやすいかもしれない、とかなんとか言っていましたが…
いいねボタンの横に数字が付くように、ダイレクトメッセージのボタンの横にも、私がメッセージを送れば「1」と数字が付くのでしょうか…?
未だに、ここのボタンからのダイレクトメッセージのほうが気付かれやすいという理屈が分かっていないのですが、このときは何も聞かず言われた通りにしてみました。
もしこれで気づいてもらえなかったら、会社に電話してみようと思っていました。
「Twitterに漫画の持ち込みのメッセージを送っているので見てください!」とだけ言うために。
そこまでするのは避けたいところ。
本当にこれで気づいてもらえるんだろうか。
不安だ。
あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◆
普段は、自分の中でテンションMAXな状態だったとしても、側からは「テンション低いね」と言われることが多いのですが、この時だけは「テンション高くなったね!」と言われました。
ありがとう。
やっと反応してもらえてとても嬉しかったです。
本当によかったです。
今年に入って一番嬉しかったかもしれません。
そしてようやく、持ち込みの日程を相談するやり取りをして、順調に話が進んで、予約が決まるんだと思っていました。
…思っていました。
まだTwitterに慣れていなかった私にとっては、何が起こっているのかわからない事態に、ちょっとの間、入ります。
左の方どなた?
あと、いつの間にかグループというものに追加されたことにも戸惑ったのですが、これはLINEでグループを作って連絡を取り合うのと同じで、私を含めた三人で持ち込みの相談が始まるんだろうことは判りました。
でも左の方はどなた!?
タケダさんという方なのですね………
お名前はわかりましたが、この時はお二人のやり取りが “私の” 持ち込み日時を提案してくださっているものだと察することができませんでした。
アイコンからアカウントに移動できることを知っていれば、タケダさんがどんな方で、誰に向けた話をしているのか解ったかもしれませんが…。
佐渡島さんがタケダさんに話しかけて、タケダさんがそれに答えていたものですから、次はまた佐渡島さんから反応があるのかなと思って、私はしばらく様子を見てみることにしました…。
ですが、日が変わっても佐渡島さんから何の反応もなかったので、なんとか状況を理解したいと思った私の妄想が膨らんでいきます。
たどりついた答えを確かめるために、私からメッセージを送りました。
このときは大真面目でしたが、コルク関係者の方でこの記事を読んでいる方がいらっしゃるなら、どうか笑ってやってください、笑い話にしてもらえないと、とても恥ずかしいです。
こんな私に対して、タケダさんは丁寧に対応してくださいました。
そうとう頭の悪そうなやつだと思われそうな出だしになってしまいましたが、非常識で失礼な態度にはなっていないはずなので、なんとかなると思って気を取り直しました。
内容を整理すると、私が持ち込みの予約を入れられる日が、3ヶ月後の10月19日しかないということです。
うーーーん………遅っ
正直な気持ちをお伝えしました。
『出版社に持ち込みに行くより先にコルクの方に読んでいただきたいです』と送りましたが、出版社に持って行く気はさらさら無くて、10月19日にしか受け付けられないと言われれば、その日まで待つつもりでした。
わがままなことを言っている自覚はありましたが、もっと早くに読んでもらうにはどうすればいいかと策略してしまいました。
とにかくコルクの方に(できれば佐渡島さんに)漫画を読んでもらいたかったので、その気持ちを分かってもらうために『出版社に持ち込みに行くより先に…』とウソをつきました。
きらいにならないでください………。
お忙しいことを承知のうえで、こんなメッセージを送ってしまいましたが、武田さんはすぐにお返事をくださいました。
くださったのですが…
出張………!!
私はどこまでタイミングの悪い人間なんだろうと思いました。
見えない誰かが私の漫画を佐渡島さんに読ませないために裏工作してるんじゃないかと妄想したほどでした。
ですが、やっと連絡が取り合える状態になっただけでも有り難かったので、そのくらい待つぞ…! と気構えたのですが…
や、優しい………
みなさんお優しいです。
こんな主張の強いお願いにも関わらず心良く対応してくださって、本当にありがとうございました…。
その後のやり取りで、ダイレクトメッセージの画面に作品URLを貼り付けて、そこから読んでいただくことになったのですが、私が今まで描いた漫画の中で一番好きな作品のページを載せることにしました。
(ページの画像がちゃんと表示されなかったりページにアクセスできなかったりして何回か載せ直しをしてしまって もうTwitter嫌いってなりました)
この作品は、読んでくださった方の感想がハッキリと分かれる漫画で、伏線がありすぎて話の展開が解りにくいとおっしゃっていた方もいたので、佐渡島さんからどんな感想が送られてくるか、かなり不安でした。
自分でも、いろいろ詰め込みすぎたかもしれないと自覚があったので、簡潔にまとまった別の作品を読んでもらおうかと最初は迷いましたが、自分が一番好きな漫画で自分の作品を知ってもらいたいと思ったので…。
なかなかお返事がこなかったとしてもソワソワしたりウロウロしたり、余計なことを考えたりするのはよそうと、とにかく自分の漫画を信じました。
それに佐渡島さんはしばらく出張だとおっしゃっていたので、そんなにすぐに感想は送られてこないだろうと予想して、気長に待とうと思ったのですが…
作品URLを送った次の日、
次の日にお返事がありました。
早いです。
お忙しい中、こんなにすぐにお返事をくださってありがとうございます。
でも心構えができていなかったので、その先の文はしばらく読んでいませんでした。
ただ、時間を空けると余計に心臓に悪いとも思ったので、心を落ち着かせて、再度ダイレクトメッセージを開き、感想の文を読むことにしました。
なんというか、その文をこの記事に載せるのは、とても恥ずかしいです。
なので載せません。
やっぱり載せます。
少しくらい自慢してもいいですよね。
嬉しさと、安堵感と、やっと読んでもらえたという脱力感と…。
ここまでくるのに色々ありましたが、それを乗り越えられて良かったです。
ダイレクトメッセージのアドバイスをしてくれた身内に、もっと感謝しないとですね…。
このあと順調に話し合いが進み、持ち込みの日を8月13日にしてもらうことができました…! 2ヶ月も早まった…! ありがたいことです…。
持ち込み当日までに、フォロワーを100人に増やすように言われたり、似顔絵を描いて持ってきてと言われたり、課題が積もりましたが、それもありがたかったです。
(フォロワー100人は達成できず自分の無能を感じました)
noteに載せていた他の漫画もすべて読んでくださり、それぞれの感想をいただいたのですが…
失礼ながら、誉めて伸ばすタイプの方なのかと思ってしまうほどだったので、うれしい反面、恐縮してしまいました。
でも、ありがとうございます。
漫画を描くことしか能のない私ですが、少しは価値のある人間になれたように思えました。
佐渡島さんはもちろん、武田さんも私のために沢山の対応をしてくださって、本当にありがたかったです。
お二人とも、お忙しい中ありがとうございました。
◆
このまま、持ち込み当日の記録も書いていきたいところですが、一旦ここで区切ります。
いつ書き終えられるか分からないのですが、その記事も続けて読んでいただけると嬉しいです。
そして、最近2回目の打ち合わせがあったので、その日のことも記録しておきたいと思っているのですが…
いつになるのか…。
気分で決まると思います…。
ひとまずは、ここまで読んでくださり、ありがとうございました!